住職のごあいさつ

大乗院薬王寺　住職　田中清元

慈悲喜捨

明けましておめでとうございます。
令和七年の幕開けです。皆様は健やかに新年をお迎えされたと存じ上げます。本来なら今年の夢や抱負となるのですが、頭を巡るのは昨年元旦の能登半島大地震、重ねて大雨洪水でも多くの方々が犠牲に遭われました。被災されました皆様に衷心よりお見舞い申し上げ、速やかに被災地に日常が取り戻されますことを心よりお祈り申し上げます。
また去年は、五十年に一度の大行事、大本山総持寺御開山「太祖瑩山禅師」七百回大遠忌御正當の年でした、厳粛の中に大円成出来ました事、私事ながら北海道代表として大禅師猊下の命を受け秋の大導師としてお勤めさせて頂きました。これも檀信徒の皆様の支えと深く感謝申し上げます。
大乗院では、元旦の早朝にお守りや縁起物、五色米などを求め、お墓参りにお越しになられる方が何人もいらっしゃいます。
昨年一年を、今までの人生を無事に過ごせたことを、亡き方や御先祖様に感謝し、それから家に帰って「明けましておめでとうございます」を言うのだそうです。お正月だからこそ特別に御先祖様に感謝するのも良いですね。
さて、昨年お金に纏わる話題が何と多かったことか。増税、株価過去最高、高額宝くじ、裏金問題・・・一年を象徴する文字が「金」。欲望に満ちた社会の末は、歴史が証明しています。
今年は、一体どうなるのでしょうか。明るくありたいと祈ります。
仏教は、悲惨な社会を避けるために和を説いてきました。お釈迦様は、心に究極の四文字を判断基準として留めるよう諭しています。この四文字に拘ると社会すら変わっていくとも。
心の安寧と幸福な生活の根源を支える四原理と云われる「慈」「悲」「喜」「捨」の四文字。

「慈」とは
他者の幸せのために利他の行為を大切にする心

「悲」とは
他者の苦悩や苦難に共感する心

「喜」とは
他者の降伏を自分の喜びと捉える心

そして「捨」とは
全ての人間は公平に平等であるとの心

至難の境地ですが、隗（かい）より始めよです。新年という節目の時、周りに起きる事象に、この四文字で自省することから始めたら良いでしょう。
私もまた、新年の私自身へ自問自答でもあります。皆様の御多幸を心よりお祈りいたします。

令和7年元旦　清元合掌